冷酷な王さまは愛し方を知らない
「出迎えができずすまなかった」
「いえ、そんな。ご公務が忙しいと聞きました」
「頭の痛い書類仕事がたまっていてな」
よく見ると、少しお疲れのように見える。
王さまのお仕事というのは、責任も大きくとても大変な仕事だろう。
私は、どれだけアルさまを支えられるだろう。
「お前が来ると思うと、なぜだろう。ソワソワして仕事にならん」
「え…」
「こんなことは、初めてだった」
伸びてきた手が頰に優しく触れる。
とても優しく、暖かな手に心が温かくなる。
「これからは、毎日そばにリズがいるのだな」
「はい。もちろんです」
私の存在がアルさまにプラスになるといい。
穏やかな気持ちになれたり、安心できる場所を作りたい。
私に、何ができるだろう。