冷酷な王さまは愛し方を知らない
「ありがとうございます」
「いえ。あまり、根を詰めすぎるとしんどくなりますよ」
「…はい。でも、頑張りたいんです」
私は素直に本を閉じると、差し出された紅茶に口をつける。
「アルさまは、リズさまを王妃として縛りたいわけではありません」
「わかってます。ちゃんと、話してくださいました」
「なら…」
「それでも、できることはやりたいです。アルさまが想ってくれるからと、なにもせず胡坐をかくことはしたくありません。私は、アルさまを側で支えたくてこの話をお受けしたのですから」
ただ好きだと、側にいたいと。
それでは、ただの私の一方的な想いになってしまう。
私は、ちゃんとアルさまの本当の意味での支えになりたい。
アルさまが落ち着ける場所に。
「アルさまが、困ったとき悩んだ時に、手を差し伸べられる人になりたいんです」
「貴方でよかった」
キースさんがそう言って笑った。