冷酷な王さまは愛し方を知らない
アルさまが率いる騎士団を送り出し、静かになってしまった城内にいると本当にさまざまな事を考えてしまう。
今、どこにいるのか。
怪我をしていないか。
私はどうしているべきなのだろうか。
「キースさん、私はどうしていたらいいんでしょう…」
「どうもする必要はありませんよ。アルさまを信じ、いつも通りの生活をしていたらいいんです」
「いつも通り…」
そんな事、できるだろうか。
でも…。
城に残っている城に仕える従者たちもソワソワしているのがわかる。
そんな中で、王妃としてここにいる私まで落ち着きがなければみんなの不安を助長させてしまう。
「私が、しっかりしなくちゃ…」
そうだ。
私は、同じようにソワソワ不安がっていていい立場ではない。
まだ王妃ではないにせよ、いずれその立場になるためにここにいるんだ。
アルさまの側にいる。
そう決めたのは私。
キースさんだって、きっと本当はすごく心配なはずなのに。