冷酷な王さまは愛し方を知らない
担架に乗せられ運ばれてくる。
その担架に乗せられているのは、クリスさんだ。
その身体から流れる血がクリスさんの身体を赤く染め上げている。
「クリス…さん…?」
キースさんが付き添い、騎士たちによって運ばれていくクリスさんを呆然と見つめる。
アルさまが無事でよかった。
でも、クリスさんが大怪我を負ってしまうなんて…。
「…俺の、せいだ」
「え……?」
震えるような呟きが聞こえ、顔をあげるとアルさまは青ざめた顔でクリスさんが運ばれていった方を見つめていた。
今にも倒れてしまいそうなアルさまの様子に、私はアルさまの身体を支えるように触れる。
「なにが…、あったのですか…?」
私には戦の事はわからない。
いくつもの命のやり取りがあって、目まぐるしく戦況が変わっていく中で起こったことならば、一概に誰かのせいだとは言えないはず。
それなのに、アルさまは自分のせいだという。