冷酷な王さまは愛し方を知らない
「今日、どうだった?」
「楽しかったよ。一生に一度経験できるかわからない出来事だったし」
「だよね」
ユナに聞かれ私は正直に答えた。
王城に入るなんてなかなかできる事じゃい。
その上ドレスを着て舞踏会を経験できるなんて。
一度もダンスは躍らなかったけれど。
「婚約者を決めるとか言って、なんの発表もランキングもなかったよね」
「ランキングって…。でも、そうね。でも、すぐに決められるものでもないでしょう?」
「それはそうだろうけど」
もしかしたら、目的は別にあったのかもしれないし。
婚約者を一般から見つけるなんて話聞いたことがないもの。
これまでの王さまも、政略結婚でお姫さまや貴族の娘など高貴なお方との縁談での結婚しかなかった。
庶民をだなんてそもそもそんな考えになることがありえないことだもの。
でも、そうでも言わなければ庶民があんな風に王城に集まって舞踏会に参加できるなんて経験きっとできなかったし。
そういうのを経験させる機会を作ってくれた、なんて都合のいい話はないかしら。