冷酷な王さまは愛し方を知らない
うわぁ。
あれは、きっと、プロポーズだよね。
ついに。
ついに…!?
ひとり舞い上がってしまってソワソワしてしまう。
サーシャさんには幸せになってほしかった。
相手がクリスさんだなんて、とっても嬉しいことだわ。
「なにを一人で百面相をしているのだ」
「えっ、わ!アルさま…!」
怪訝な顔のアルさま。
変なところを見られてしまった!
恥ずかしい!
「あ、いけません。アルさま、今は…。こちらに!」
きっとアルさま、クリスさんの様子を見にいらしたんだわ。
でも今は、とってもいいところ。
邪魔をしたらいけない。
私はアルさまの腕をひきその場から離す。
「なんだ、どうした」
「今、いいところなのです。邪魔をするのは野暮というもの」
「なんの話だ…」
一層怪訝な顔をする。