冷酷な王さまは愛し方を知らない
「…クリスとあの娘がなぁ」
「はい。うまくいってほしいのです」
中庭までアルさまをお連れする。
寒い季節を超え、少しずつ暖かい空気が流れてくる。
「お前は、人の事ばかりだな」
「え?」
「そろそろ、婚儀の方を進めたいと思っているんだが」
「え…!あ…、は、はい。ですが、私はまだ国の事も、マナーや教養も知らないことばかりで」
まだアルさまの隣に王妃として建てる自信は、ない。
リズとして立つのが精一杯だ。
「わかっている。急かすつもりはない。だが、そう思っていることを知っておいてほしい」
「はい…」
「まぁ、こうして俺だけのものでいてくれるのは嬉しいのだがな」
「えっ」
「王妃として公表してしまえば、誰もがリズを知ることとなる。ライバルが増えるかもしれん」
「そんな事は…」
そんなもの好きはアルさまだけです。
アルさまに思われることだけで、私は十分だもの。