冷酷な王さまは愛し方を知らない


――正式に王妃になると無闇に城外に出れなくなる。そうなる前に実家にでも行ってくるといい



突然のアルさまの申し出に私は胸を弾ませて自分が育った家に向かった。
従者をつけると言われたけれど、まだ王妃でもない私に必要ないと断った。
公の場には出ていないし、誰も私を知る人なんていないしね。



「リズ!どうしたの!?」

「お母さん!お父さんも…!」

「帰ってきたのか?もしや城を追い出されたんじゃ…」

「違うわよ。正式に王妃になるとなかなか帰ってこれなくなるからってアルさまのお心づかいで帰ってきたの」

「そうか…。ありがたい。王さまには感謝しないとな」



お父さんが嬉しそうに笑う。
久しぶりの二人はとても元気そう。
お母さんもすっかり顔色も良くて安心した。
アルさまは二人を別のもう少しいい家へ移るように手配すると言ってくれたのを、二人は断った。
ここは私たち家族の思い出が詰まった家だからと。

今は、そのことにとても感謝している。
ここに戻ってくると、家に帰ってきたって感じがする。
とても懐かしい。




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