冷酷な王さまは愛し方を知らない


「さっきの男をここに連れ戻しな!」

「え…、む、無理です!私にもどこに行ったのかなんて…」

「ああ?ふざけんな!ようやく見つけたんだ!あのクソガキ!」



ギリギリと腕を掴んだ手に力が込められ痛い。
顔を顰め腕をひこうとするも、ビクともしない。

やだ、なにこの人…。
怖い…。



逃げ出したいのに、力ではかなわない。
コハクになにか恨みでもあるのだろうか。
お金を出せば何でもやるくらいだもの、恨みをかっていても頷ける。




「やめてください!本当に私は関係ないんです!」




どうしよう…。
何度も、アルさまの手を煩わせたくない。
それに、助けを呼ぶ手段もない。

ここは少し路地を入ったところで、人の姿は余りない。
その上この人が凄みを聞かせているせいで人が通りかかっても慌てて逃げていってしまい助けは絶望だ。


こんなことならコハクを追いかけなければよかった。




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