冷酷な王さまは愛し方を知らない
コハクくんが押されている感じは全くなかった。
男がコハクくんに動かされている感じ。
男の息ばかりが上がり、誰が見てもコハクくんの優勢だ。
「死ねぇ!!」
パァァン!!!
けたたましい銃声。
他に仲間がいたのか、突然現れた細身の男が硝煙をあげる鉄砲を握り立っていた。
「コハクくん!」
鉄砲なんて初めて見た。
もちろん、鉄砲なんてものは庶民が持つことを許されてはいない。
恐怖に胸が震える。
コハクくんの腕辺りが赤く染まる。
それでもコハクくんは顔色一つ変えなかった。
すぐに、もう一人の男への対応を含め戦う。
怪我なんてないもののような身のこなしで、男たちをあっという間に伸してしまった。
「…コハクくん!!」
気を失い倒れた男たちに安堵しながら、コハクくんに駆け寄る。
呼吸さえ上がっていない。
「だ、大丈夫?」
「…別に平気」
「平気なわけないじゃない!撃たれてるのよ!」
血は相変わらずドクドクと流れていた。