冷酷な王さまは愛し方を知らない
「アルさま。ただいま帰りました」
「ああ。おかえり。家族といい時間を過ごせたか?」
「はい。それはもちろん」
アルさまはとても変わられたと思う。
それが自分のおかげだなんて烏滸がましいことは考えないけれど。
冷たさは消えた。
不器用だけど、温かなアルさま。
私はそんなアルさまに応えたいと思う。
できることをしたい。
それが、王族としては間違っていたとしても。
「どうした?」
ジッとアルさまを見つめてしまっていた私に不思議そうに首を傾げ問いかけるアルさまに私は笑って首を横に振る。
「いえ。少しの間アルさまと離れるだけでも、とても寂しいものだなと思いまして」
「…そうか。そうだな。俺も寂しかった」
私の想いに、正直に答えてくれる。
それが嬉しい。
「クリスさんの様子は…」
「問題ない。身体を動かせるまでに回復している。訓練が出来んとふて腐れているくらいだ」
「まぁ…」
それはよかった。
胸をなでおろす。