冷酷な王さまは愛し方を知らない
それはとても喜ばしいことだわ。
ずっと、そうなればいいと思っていた。
「俺は騎士だ。いつ死んでもおかしくない。だから、巻き込みたくないと、悲しませたくないと思って、そうなるべきじゃないと抑えてきた」
「…はい」
「でも、今回…、サーシャをあんな風に悲しませてしまった。どちらにせよ悲しませてしまうのなら、自分の一番近くにいて、悲しませた分それ以上に抱きしめてやりたいって思った」
少し照れくさそうに、でも正直に話してくれるクリスさん。
「アルさまがリズを王妃にと決断した時、想ったんだ。そう言う決断もあるんだと…。なにもない方が強くあれることもあるかもしれない。でも、帰りたい場所があるというのは生きる糧になると思ったんだ」
「クリスさん…」
クリスさんの瞳はとてもイキイキとしていて。
とても輝いて見えた。
強い意志を持ったその瞳は、すべてを包み込む覚悟を感じさせる。
「おめでとうございます。とても嬉しいです」
「ああ、ありがとう」