冷酷な王さまは愛し方を知らない
「どうした、騒がしいな」
「そ、それが…、リズさまが負傷した男をお連れになったようで…」
「男…?」
「はい…。それが、その男が以前ドーベルが差し向けたあの逃亡中の男のようで…」
「…なに?」
ガタガタと音を立て立ち上がる。
椅子が音を立て倒れた。
「それは、確かか」
「…おそらく…。男の姿を見ているクリスの証言ではよく似ていると」
話を聞きながら、男とリズがいるという医務室へと急ぐ。
いったいどういう事なんだ、リズ。
どうしてそんな男なんかを連れ込んだ。
「アルさま、ぜひ落ち着いて対応をお願いしますよ」
「…煩い。わかっている」
落ち着けだと?
感情的になるなという事だろうが、この状況でどうして落ち着いていられるというんだ。
「リズ!」
俺は、部屋に勢いよく突入した。