冷酷な王さまは愛し方を知らない
「だめっていって…、あ、アルさま…!」
飛び込んできた光景は、身体を起こした男を支えるように両手で肩に触れているリズ。
男の顔は、まさにあの時の男だった。
「貴様…!リズ、その男から離れろ!」
俺は腰に下げてきた剣を抜き男に突き付ける。
男はかなり手負いの様子、前回のように素早く逃げる様子はない。
「アルさま…!」
「どけ、リズ。その男はあの時お前を誘拐し殺そうとした男だろう」
「待ってください、アルさま!確かに、コハクくんは…!」
「庇いだてする気か!?」
“コハクくん”だと?
親しげに名前を呼ぶほどの関係という事か?
俺よりも、その男を取るというのか。
「…だから言った。俺は、ここにいたらいけない…」
「でも!そんな怪我で…!」
沸々と怒りがわいてくる。
男を心配そうに見つめるリズを見ていると、その怒りは沸点を超え爆発しそうだ。