冷酷な王さまは愛し方を知らない
「リズさま、お食事をお持ちしました」
キースさんが運んできてくれた料理は、裏切り者だとアルさまに言われた私なのに、いつもの豪華すぎるものだった。
どうして…。
「リズさま。話してはくれませんか?何か事情がおありでしょう?」
「キースさん…」
キースさんは私と視線を合わせる。
問い詰めるでもなく私が話すのを促してくれる優しさに胸が軋んだ。
「貴方の事です。なにかわけがあるのでしょう?」
「……わけがあったにしても、私のしたことは許されることではないのでしょう?」
わかっていた。
だからこそ、私はキースさんにもアルさまにも告げず行動を起こしたのだから。
咎められて当然。
「ですが、このままではアルさまはただ貴方に裏切られたのだと思っています。貴方の事だけは信じられていたのに、また固く心を閉ざしてしまわれます」
「…私は、もうどう思われてもいいんです。アルさまをお慕いしております。でも、それよりもアルさまのお命の方が…!」