冷酷な王さまは愛し方を知らない
これからどうしよう。
サーシャさんの花屋にはもうミリアさんがいる。
他で働き先を探さなくちゃ。
一度溢れてきた涙は止まらなくて。
トボトボと歩きながら溢れる涙を拭う。
お父さんとお母さんに、なんと説明したらいいんだろう。
きっと、温かく迎えてはくれるだろう。
それでも…。
「…ぅっ…、ふっ…」
自分がしたことに後悔はない。
それでも、アルさまと離れるのは耐えがたい。
アルさまとの日々はそれほど愛おしく、幸福溢れたものだったから。
もっと一緒にいたかった。
側にいて共に笑ったり泣いたり、いろんな感情を共にして。
いろんな場所を見て、感じて。
同じ時を共に…。
「それももう、叶わないんだわ…っ」
それが悲しい。
なによりも辛い。