冷酷な王さまは愛し方を知らない
「待て!…リズっ!!」
突然後ろから腕をひかれ振り向かされる。
涙でぐしゃぐしゃの顔のままぼやけた視界で掴んだ人物の姿を捕える。
「…あ、アルさま…?」
そんなまさか。
アルさまがこんなところにいるはずがない。
だって。
「リズ…、どうして、あんな手紙…。お前は、あのまま姿を消すつもりだったのか?」
「だって…、もう私は、アルさまのお側にいられないって…」
「すまない…、あんなのは本心じゃなかった…」
アルさまの指が頬に触れ涙を拭ってくれる。
けれど、その温もりに次から次へと涙が溢れてくる。
そんな私を見て苦笑いを浮かべながら、溢れてくる涙を丁寧に拭ってくれる。
「嫉妬、したのだ…。あの男に。お前があまりに大事そうにあの男に触れていたから」
「そんな…、大事そうになんて…。怪我をしていたから…」
「ああ。わかっている…。お前の優しさだというのは…、だが、あの時は感情が高ぶり制御できなかった…」