冷酷な王さまは愛し方を知らない
「戻ってきてくれ、リズ…」
「アルさま…」
「お前がいない生活は、もう考えられない…。俺にはお前が、必要なのだ」
「ですが、ですが、私はコハクくんを…!」
仮にも一度敵として現れたコハクくんを。
許されないことだとわかっていたのに。
「俺のためにと、決めたことなのだろう。キースから聞いた」
「それでも、王族として…選んではいけない道でした」
「庶民を王妃に向かえた俺はどうなのだ。もとより平穏な道からはそれている」
愛しいものに触れるような手つき。
優しく何度も頬を撫で、少し悲しげな表情で。
「それとこれとは…」
「アヤツの力は、味方になればとても頼りになるものだろう。リズ、お前もそう思ったのだろう?敵だからと切り捨てるのではなく、味方にして戦力にする。お前にしかできん考え方だ」
「アルさま…」
「俺には出来ない。裏切ることを前提に考えてしまう俺には…」