冷酷な王さまは愛し方を知らない


「コハクくん、アルさまはいくら依頼だったからと言って一度は敵に回った貴方を許そうとしてくれているのよ。そんな態度はよくないわ」

「…お前がそう言うなら改める」

「そ、そう?」



なんだか素直だわ。
それに、今まで無だったコハクくんとは思えない。
アルさまに刃向ったり、なんだか感情を持っているみたいだ。



「じゃあ、アルさまに協力してくれるのよね?」

「…うん」

「よかった。ありがとう」




きっと悪い人じゃない。
ただ、依頼にシビアなだけ。
いろんな苦難を乗り越えてきたんだろう。



「じゃあ、改めて、よろしくね」

「よろしく」



私が手を出すと、コハクくんは素直に手を伸ばす。
触れるかと思ったその時、コハクくんのその手を取ったのは、アルさまだった。



「よろしく頼んだぞ」

「……」



威圧感のある声色と表情で、その手を握りつぶすほどの力でアルさまは言った。
本当に、大丈夫なのだろうか…。



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