冷酷な王さまは愛し方を知らない


コハクくんは、正式にアルさまと改めて契約を結んだ。
隠密として。

だから、騎士のように表だって動いたり戦ったりはしないらしい。
主に情報収集をしたり、潜入調査的な事をするのだと聞いた。

顔を知られていないほうがそういう仕事には向いているのだという。



「本当に、リズさまには驚かされますよ」

「す、すみません…。勝手なことをして…」

「いえ。最終的に決断をしたのはアルさまですし。確かに、王族暗殺の動きを止めるためにはしきたりやら常識を考えていてはいけないと常々思ってはいたのです」

「コハクくんを選んだことが正解だったのか、私にはまだわからないんです」

「まだ誰にもわかりませんよ。彼は良くも悪くも任務として請け負っているだけ。我々のように忠誠心があるわけではないですから。なにか起きた時最後まで味方でいてくれるとは限りません」



いくら契約を交わしていて、お金のために動くというコハクくんだったとして。
他にもっといい条件の依頼主が現れた時、裏切らないとは限らない。

そうなってみなければ、どうなるかなんてわからない。
それでも、アルさまを取ってくれるのか。
それとも裏切ってその手を取るのか。



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