冷酷な王さまは愛し方を知らない
「コハクくん、大丈夫だよ。もうコハクくんは私たちの仲間だもん。追い出したりなんかしないよ」
そう言ったところで、きっと不安は尽きないだろう。
コハクくんはこれまで、いろんな人の間を転々としてきた。
定住せず、次々に主を変えて。
そういう生き方しか、知らなかったんだ。
「コハクくんが、ここにいたいって願うだけ、いたらいいの。そして、アルさまを助けてあげて」
「…お前が…、リズがそう望むなら、俺はなんだってする。決めた」
「コハクくん…」
「だから、俺、…リズの側にいてもいいか?」
「もちろん。ありがとう、コハクくん。改めて、これからよろしくね」
きっと、強い味方になるね。
アルさまをきっと助けてくれる。
それが嬉しくて。
誇らしくも想えて。
私にも、アルさまを護るための力が持てたような気がした。