冷酷な王さまは愛し方を知らない
「ほら、あの子。…庶民の癖に王妃になったっていう」
招待されたパーティ。
煌びやかなドレスに身を包み、参加した私だけど、他国の王さまや貴族の方と忙しなく挨拶を交わすアルさまの隣で、必死に相手の顔と名前を憶えながら、アルさまの邪魔にならないようにと必死にこなしていた。
そんな私に、コソコソと隠れるようでいてわざと聞こえるように近くで噂話をしているんじゃないかと思うような御令嬢の方々。
刺さる視線が痛いけれど、振り向いてやるのは癪だった。
「アルヴィンさまも、物好きね」
「庶民をといえば、ある意味注目を浴びるもの。今は国を大きくするためにも、知ってもらう手段としては新しくていいのかもしれないわ」
「言えてる。そうでもなくちゃあんな子を選ぶなんて、見る目がないってものよね」
クスクスと笑い声が聞こえてくる。
覚悟はしていた。
庶民育ちなことが、きっと周りには恰好の餌食になると。
だから、怯むわけにはいかない。
だって事実だもの。
今の私になんの力もない。
「ところで、王妃さまは元は庶民の生まれだとか」
近いところではっきりとした声が聞こえ、ハッとして顔をあげた。
男の人のその声に、アルさまに対して話している人の声だと気付いた。