冷酷な王さまは愛し方を知らない
「すまない。俺も出なくてはいけなくなった」
「え…?」
「隣国から会合の申し出があった。今はどうしてもそこといい関係を掴んでおきたい」
「わかっています。アルさまだけで、よろしいんですか?」
「ああ。だから、待っていてくれるか?」
「もちろんです」
送り出すのが戦場ではないことにホッとする一方で、アルさまもいなくなってしまうなんてと寂しく思う。
それでも、悟られないように笑顔で答えた。
こういう時、自分はなんて無力なのだろうと思う。
アルさまと共に出向いて、友好のための力にはなれないのだから。
それがわかっているから、アルさまも私をあえて連れていこうとしない。
私を想っての事でもあるのだろうけれど。
そういう場に慣れてはいない私のため…。
「すぐに戻る」
「はい」
「戻ったら、お前との時間もちゃんと作ると誓おう」
「ふふ、はい。楽しみにしています」
そう言って、アルさまはクリスさんたち騎士団を連れいってしまわれた。