冷酷な王さまは愛し方を知らない


アルさまも、キースさんたちもいなくなって、城から人が全くいなくなったわけでもないのに、とても寂しい気持ちになる。

廊下を歩けば人とすれ違い、人の生活する音も聞こえてくると言うのに。
ここへ来て、沢山の従者の方の顔と名前を覚えて来たが、メイドだけでもかなりの人数がいるこの王城では一苦労だ。



「リズさま、食事のお時間です」

「ありがとう」


今日はセシリアが休みを取っているようで、私を呼びに来てくれたのは別のメイドだ。
私は読んでいた書物を机に伏せ、立ち上がるとそれに従い部屋を出た。



アルさまたちが出た後、私も王妃としての仕事が少しずつ増えてきて覚えたり慣れたりすることで必死だ。


「お疲れは出ていませんか?」

「大丈夫。慣れないことで戸惑うことばかりだけど」


優しく気遣ってくれる彼女の名前はなんといったかしら。
確か、ソフィーといった気がする。
こうして関わることがあれば名前を覚えるのも少しは楽だ。


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