冷酷な王さまは愛し方を知らない
「くそっ!」
ガツッ、と太ももを強く叩き付ける。
怒りをぶつける場が必要だった。
「アルさま…」
「なぜ、このような日に…」
「そのことですが、城が手薄になる時を待っていたのでは」
「なに?」
「急遽、私とコハクが城を出た後、アルさまも城をあける。少し出来過ぎのようにも思えます」
「それさえも仕組まれていたと?」
「可能性の話です」
アルは怒りに冷静になれていなかった自分に気づいた。
今は冷静に対処しなければいけない時だ。
誰の仕業か。
誰が手引きをしているのか。
それを探るのが、最善策だ。
これ以上、傷つく姿を見たくない。
守るためにできることをしなければと。
「キース。今の状況と、わかっていることを聞かせろ。聞き取りには俺も立ち会う」
「アルさま…。よろしいのですか?」
「ああ。まずは全容を解明するのが王である俺のやるべきことだ」
ベッドに眠るリズを一度視線に入れ、アルは気持ちを切り替え部屋を出た。