冷酷な王さまは愛し方を知らない


聞き取りの結果はあまり成果は上がらなかった。
調理人はそんな料理を作った記憶はないといい、配膳したメイドは用意されていたものをそのまま出したのだと主張した。
毒が入っていた青色の小鉢がどのタイミングで誰が用意したのか、わからずじまいだ。


しかし、話を聞いていれば、一瞬だけ、配膳の用意をされた時にボヤ騒ぎがあったことでその場を離れたことがあるようだった。


「料理人がなにを作ってなにを出すのかを把握していなかったのか?」

「す、すみません。王妃さまにお出しするのは初めてで、緊張していて」

「それが理由になるか?」

「わかっています。申し訳ございません」


給仕をしたメイドは終始怯えた様子だった。


「出した料理の説明を省いたのはなぜだ?」

「献立は予め提出していますし、セシリアさんなら言わずとも理解しています」

「だが、今回はセシリアではなかった。それなのに説明を省いたのは料理人の落ち度ではないか?」

「それは…。申し訳ありません」


それぞれの気の緩みの結果。
してくれるであろうという、怠惰が招いた結果だった。


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