冷酷な王さまは愛し方を知らない


そして、結局誰の仕業か判断することは今のところ不可能だった。


「一度、リズの元に戻る」

「はい」


キースに一言告げると、真っ直ぐにリズの部屋へ向かった。
部屋の前には護衛としてクリスが立っていた。


「戻ったのか」

「はい。中はコハクに守らせています」



コハクは大丈夫であろうか。
あいつはリズに大変懐いており、かなり陶酔しているように思う。
リズが傷ついたと知って、ショックを受けているのではないか。

あいつがショックを受けようが傷つこうが自分には関係ないが。
そうアルは、思い直し戸を開いて中に入る。


「リズ…リズ…起きて…起きてよ…」


中を守らせているといったではないか、とクラスの方をちらりと見たが、クリスは苦笑を返すばかり。


仕方なく扉を閉めた。
中ではコハクがリズに縋り付きながら泣いていた。


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