冷酷な王さまは愛し方を知らない
それなのに、守りきれなかった後悔だけが胸を支配する。
「犯人は」
「まだわかっていない」
「なにしてるの。早く見つけ出して、八つ裂きにして。リズをこんな目に遭わせたやつ生きる価値ない」
とても冷めた目。
酷く歪み憎しみに胸を焦がし。
「お願い、アル。俺、怖い。憎しみでどうにかなりそうだ。こんなの初めて。こんな感情があったなんて思わなかった。助けて」
冷めた目をしていたかと思うとさめざめと泣き始めた。
自分の変化に戸惑っているようだった。
「大丈夫だ。お前は変じゃない。それが普通だ」
「普通…?」
「大切な人が傷つけられたんだ。そんな風に憎しみを抱くのは当然のことだ」
俺だって、今すぐにでも、犯人の喉元を掻き切ってやりたいくらいだ。