冷酷な王さまは愛し方を知らない


「アルさま、私は決めたのです。貴方のところに嫁ぐと決めた日に。どんなことがあっても、アルさまのお側にいると。アルさまの暖かな場所になると」


花を見れば心が穏やかになって、落ち着ける。
私もそんな花たちのようになりたかった。
愛された分だけ愛を返せるように、いえ、それ以上の愛を返せるようにと。

花は裏切らない。
私だって、アルさまを裏切ったりしない。
信じて。


「私は、アルさまの居場所になりたい」

「リズ…。俺は、俺は本当に幸せ者だな」


引き寄せられた身体。
心の中がポカポカと温かくなる。
キュンと胸が締め付けられ、幸せだと心が叫ぶ。

「リズ。愛してる。苦しい思いさせてすまなかった。それでも、俺はもうリズを離せそうにない」

「アルさま…」

「この先も、辛いこと苦しいこと、たくさんあるだろう。それでも、リズを手放したくない。必ず守る、そう誓えたらよかった。だが、今その言葉に説得力など皆無だろう。だから、言えない。だが」


アルさまは、息をつく。
私はその言葉の先を待った。


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