冷酷な王さまは愛し方を知らない
アルさまを思い浮かべこの間の抱擁の事を思い出し頬が熱くなる。
触れたいと思った自分自身の気持ち。
言えなかった想い。
アルさまも、そうだったのだろうか。
めちゃくちゃにしたい、そう言っていた。
それはそういう事だろうか。
「どうかしました?」
「え?」
「顔が赤い。気分がすぐれないのでは?」
「えっ!いえ、これは…」
「それとも、アルさまの事を考えていたのかな?」
少し口調が砕け、悪戯っぽい笑顔を見せたクリスさん。
顔が一気に熱くなってきっと一層赤く染まったことだろう。
や、やだ。
「ははっ、当たりみたいだね」
「く、クリスさん!」
からかわれ、真っ赤になって抗議する。
でも、クリスさんはとても楽しそうに笑っていた。