冷酷な王さまは愛し方を知らない
自分がどれほど傷ついても構わない節がある。
生きることに執着がないというのか、自ら死に向かう事はないが、そうなっても仕方ないと思っている。
生きてほしいのだ。
隠密の任務はとても大切で、コハクくんにしかできないことだろう。
でも、一番に自分の命を大切にしてほしい。
それを、わかってほしい。
それが最初からの私の願いだった。
「それに、足はだいぶ上手に動かせるようになったのよ」
「ほんとか?」
「うん。リハビリ、頑張ってるの」
完璧にというのは無理だけど、最初から比べたらだいぶしっかりと歩けるようになった。
走ったり、激しい動きは無理だけど、これなら普通に歩くくらいの事は問題なさそう。
「引きずってる感はどうしても残るんだけどね」
「リズ、大丈夫か?無理して、ない?」
「無理なんて、してないよ。大丈夫。コハクくんが犯人も捕まえてくれたし。もう安心でしょ?」