冷酷な王さまは愛し方を知らない
「リズ、もう身体は大丈夫なのか?」
「はい、もちろん。お医者様からもお墨付きを頂きました」
「そうか…」
足の後遺症は残っているものの、毒はすっかり身体から抜けていてもう安心していいと言われている。
ずっと飲んでいた苦い薬ともおさらばでとても嬉しいのだ。
「なら、」
「はい」
アルさまの手が私の頬に触れる。
顔をあげアルさまを見ると、熱のこもった瞳が私を見下ろしていた。
トクン、と胸が鳴る。
「リズに、触れてもいいか」
「アルさま…」
「俺に寂しい思いさせた罰だ」
寂しい思いだなんて。
なんてかわいい物言いだろうか。
初めて会ったころのアルさまからは思いつきもしない姿。
嬉しくて、微笑ましくて、胸が高鳴って。
「もちろんです。そんな罰なら甘んじてお受けします」
「優しくする、から」
降ってきた優しい口づけ。
目を閉じ受け入れる。
ついばむようなキスから、次第に深くなっていくキスに吐息が漏れる。
アルさまに触れられた場所から、甘く溶けていってしまうみたい。