冷酷な王さまは愛し方を知らない
次の日の朝、アルさまのベッドの上で目が覚めた私は羞恥に顔を赤らめるしかなかった。
甘い甘い一夜だったものだから、思い出すのも憚られる。
というより、本当にあれはアルさまだったのだろうか。
他の人だったなんて思いたくはないけれど、とても甘く溶けてしまいそうなほど。
「おはよう」
「お、おはようございますっ」
声が、声が裏返ってしまった!
恥ずかしくてきっと顔はゆでだこの様になっているに違いない。
恥ずかしくて、それ以上に幸せ。
「無理をさせたか?」
「いえ、そんな…。恥ずかしくて、幸せなだけです」
「バカ、また襲いたくなるだろう」
「えっ」
少し困ったようなアルさまの顔。
優しい手が頭を撫でてくれる。
生きていてよかった。
アルさまにこうして触れてもらえるのだから。
そう思うと、幸せなのになぜか涙が溢れた。