冷酷な王さまは愛し方を知らない


「私は取り入ろうなんて思っていません。それに、王妃の座も狙ってはいません!」

「狙ってないですって?欲のないアピールか何か?」

「そんなこと…!」



ミリアさんに思い切り睨みつけられ萎縮してしまう。
本当なのに。

でも、それほどまでに、王妃という地位は、誰しもがうらやむものなんだろう。




「声を荒げて人を罵倒して、みっともないですわよ。アルヴィン様に見られたらそれこそ品がないと切り捨てられるんじゃなくって?」




そう、声をかけてくれたのは王女さまのシイナ様だった。
まさか、助けてくださると思っていなかったから驚いた。



「シイナ様…」

「私は今日は長旅で疲れましたのでお先に失礼します。無意味な争いは身を滅ぼしますから、程々になさってね。ごきげんよう」



シイナ様はそう言って不敵に微笑むと従者を連れてそのまま出て行ってしまった。
お礼を言いそびれてしまった。
シイナ様のおかげで、他の2人は悔しそうに顔を歪ませながらその後に続くように部屋を出た。


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