冷酷な王さまは愛し方を知らない
アルさまの綺麗な金色の長い髪。
後ろで一つにまとめられたそれは歩くたびに綺麗に靡く。
その背中に靡く金色が遠ざかっていくのを、ただいつまでも見つめていた。
別に好きで伸ばしているわけではないのだと言っていた。
ただ、切るのも面倒なのだと。
長い方がくくってしまえば寝癖もなにも気にせずにいいと、少しずぼらな事を昔言っていた。
アルさまと出会ってもう一年が過ぎていた。
その分アルさまのあの金髪も伸びて、キラキラと太陽を受けて輝く。
でも、さすがにそろそろ切り時かしら。
アルさまが戻って来られたらそう言ってみよう。
長さを整えるだけなら、私でも出来るかしら。
それなら私がアルさまの髪を切って差し上げたい。
そうやって未来の事を考えていると、少しだけ落ち着けた。