冷酷な王さまは愛し方を知らない
「気をしっかり持って。リズ、まだ行方が知れないだけだろう」
「こ、コハクくん…」
顔面蒼白になった私に、コハクくんがそう言った。
そうだ。
まだ、何も決まったわけではない。
私は気持ちを奮い立たせた。
「とにかく、何があったのか詳しく説明してください。怪我をしているものはすぐに手当てを受けなさい。クリス、お前は私と共に来てください」
「はっ」
「私も!私も同席させてください!」
「リズ…。しかし」
「お願いします!泣いたり、しませんから!」
訴えるようにそう告げると、戸惑ったようにクリスさんがキースさんを見た。
キースさんは少し考え、諦めたように息を吐くと、ついてきてください、と踵を返した。