冷酷な王さまは愛し方を知らない
お父さん、お母さん・・・。
ユナ、そしてサーシャさん…。
大好きな人、大切な人が誰もいない。
ここは、いろんなものが満たされているけれど、満たされない。
「リズさま、あの、先ほどの事はお気になさらないでください」
「あ…、うん、ごめんなさい」
「謝らないでください!あの…、みなさん必死なのだと思います。この国は一夫多妻制ではありません。ですから、選ばれるのは必ず一人。誰もがその椅子に座りたくて」
「わかってる…」
気遣うようなセシリア。
そんな場所に、どうして私がいるんだろう。
私はそんな場所に、少しも興味なんてないのに。
「今日はゆっくりとお休みください」
「ありがとう」
お風呂にも案内され、その大浴場の豪華さに圧倒されながら部屋に戻るとセシリアが笑顔でそう言った。
私もどうにか笑顔を作って応える。
大きなベッドに横になったけれど、私には寝心地が悪く、なかなか寝付けなかった。