冷酷な王さまは愛し方を知らない
「アルさま、アルさまは…」
「まだ見つかってない」
絶望が襲う。
涙がハラハラと零れていく。
どうしたらいいのかわからない。
「まだ何も決まってない」
「でも、あれはアルさまの髪だわ。あの綺麗な金色を間違えるはずがない」
紛れもなく本物の、アルさまの髪。
それが意味することといえば。
ゾクッと背筋が凍る。
だって、そんな、考えたくもない。
「戻ってきてくださると、約束したのに」
「リズ。しっかりしろ」
戸惑いながらコハクくんが私を抱きしめて慰めてくれる。
でも、欲しい温もりは別にあるの。
アルさまがくれるあの温もりじゃないと。
「アルの行方は探す。だから、心配するな」
「コハクくん…」
「お前は王妃だ、リズ。王妃としてしっかりしないと」
「…うん。そうね。そうよね」