冷酷な王さまは愛し方を知らない
私には、護らないといけない人たちがいる。
アルさまがずっと守ってきたものを、アルさまが不在の今、私が代わりに護らないと。
「ありがとう、コハクくん。私、頑張らなきゃ」
「ああ。リズは俺が護る。だから、リズはリズの護るべきものを護れ」
とても頼もしい言葉だ。
泣いてばかりいてはいけない。
私はアルさまの側にいると決めたのだもの。
王であるアルさまの側に。
「リズ!大変だ!」
部屋に慌てた様子で入ってきたのはクリスだった。
なにかがあったに違いなく、私はベッドから起き出した。
「なにが?」
「ゼルダが単身乗り込んできて、王妃であるリズを呼んでいる」
ゼルダって、コールド王国の王…。
胸が騒ぐ。
私は、ちゃんと王妃として前に立つことができるの?