冷酷な王さまは愛し方を知らない

「大丈夫だ、リズ。俺たちがいる」

「うん。頑張るわ。アルさまの事も、確認する」


しっかりするのよ、リズ。
貴方にしかできないことをするの。
顔をあげ前を向きなさい。
貴方は、この国の王妃なのよ。

覚悟を決め顔をあげる。
しっかりと踏み出した足に迷いはない。


城門あたりに来ると、警戒した騎士たちが剣を抜いている。
その中に堂々とした出で立ちで立つ一人の男。

真っ黒な短髪で、背の高いきつい冷たい目をしたその男。


「待っていたぞ、イリア王国、王妃リズ!」

「おまたせいたしました。ゼルダ王」


凛とした声で答える。
怯んだりしない。


「今日は、交渉に来てやった」

「交渉?」

「ああ。俺からの贈り物は届いただろう」


あの小包は、やはりコールド王国からの…。
ギュッと唇を噛んだ。
ばれぬよう小さく息を吐いて心を落ち着かせる。


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