冷酷な王さまは愛し方を知らない
運命の日。
その日はどんよりとした厚い雲が空を覆い、今にも泣き出しそうな天気。
今回は従者を引き連れてやってきたゼルダは、前回同様堂々と立ち、自信ありげな表情で叫んだ。
「さあ、約束の日だ!」
「アルさまの首を送ると言いながら、この一週間届きませんでしたね」
「はっ、優しさとして受け取ってほしいね!いつまでも死んだ男に捕らわれていては、前に進めぬであろう」
あくまでも、死んだ体で話すゼルダに、迷いはなかった。
なにか動揺でもしてくれればわかったかもしれなかったが、それも見られなかった。
「さあ、王妃さま。お返事を聞かせてもらおうか」
「どちらの要求ものむことはできない!」
声をあげたのは、キースさんだった。
周りにいる騎士たちも強い意志を持った表情で剣を構えていた。
「王の首を取ったものの勝利。それなのに、ずいぶん往生際が悪いなあ。これでも、好条件を提示したつもりだが」
「アルヴィンさまは死んでいない!降伏するつもりはない」
「信じる者は救われるとでも思ってんのか。バカバカしい。ならば交渉決裂、戦争が始まるが文句はないな」
ゼルダが冷たく言い放つ。
後ろに控えるコールド軍の騎士たちが殺気立った雰囲気を放つ。