冷酷な王さまは愛し方を知らない
気を抜くと、はらりと涙が溢れ落ちる。
自分で決めたことなのに、情けない。
「リズさま、国王さまがお呼びです」
従者の男性が呼びに来る。
ドキリと胸をならす。
今までここにいてもゼルダ王には会うことはなかった。
会いたくない。
でも、背くわけにはいかない。
立ち上がると、クラリと体が傾く。
従者の人が慌てたように支える。
「ご、ごめんなさい」
「いえ。お気をつけください」
最近、体調が悪い。
それは精神的なものから来るものなのだろうけれど。
食事を受け付けないのもそのためでもあった。
「こちらへ」
案内されながら辿り着いたのは大きく重層感漂う扉の前。
この先に、ゼルダ王がいるのだろうか。
心が凍るようだ。
怖い。
心を奮い立たせていないと、たっているのも不安だ。