冷酷な王さまは愛し方を知らない

「リズ。ここでの暮らしはどうだ」

「・・・別にどうということもありません」


中に入ると立派な椅子にふんぞり返って座るゼルダ王が、勝ち誇ったような顔で見下ろしながらそう訪ねた。
私は、歯向かいたい気持ちを半分だけ押さえてそう答える。
快適です、だなんて嘘でも言いたくはない。
少しだけでも、抵抗を示していたい。


「つれないところも、なかなかそそるものがあるな」

「何が言いたいのですか」

「俺は、お前を手に入れたかった。それが叶い、いい気分だということだ」

「私が・・・?」


私を手に入れたかったというのは、どういうことだろう。
それは、以前から私を知っていたということ?
手に入れたいだなんて、全く意味がわからない。


「忍でイリア王国へ行ったことがある。その時に花屋で働くお前を見た。華々しく着飾った見目麗しい女どもは幾人も見てきたはずだが、素朴なお前に目を奪われたのだ」


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