冷酷な王さまは愛し方を知らない
「どうしても、お前を手に入れたい。そう思っていたが、まさかいけすかないイリアの王に先手を打たれるとはな。腸が煮えくり返ったぞ」
知らなかった。
自分の知らないところで、そんな風に見られていて、思われていたなんて。
アルさまに思われていたと知ったときには驚いたと同時に嬉しかったのに、この人にそういわれても、ただ恐怖でしかない。
「だから、どうしても手に入れたかったのだ。領土は広げたいとは思っていたが、イリア王国がほしいわけではない。だから、お前が手にはいるなら、どうでもいいのだ」
「その為に、今回の戦争を仕掛けたのですか?」
「当然だ。俺は、ほしいもののためなら何でもする。だから、お前がここにいるのなら、あの国に手出しはしないと誓おう。まぁ、王をなくした国だ。勝手に滅びるのは仕方ないと思えよ」
明かされる絶望の話。
私を手に入れるために、戦争まで仕掛けるなんて。
この人の荒々しい考えにはゾッとした。
その為に、何人の何百の人が傷ついたのだろうか。
その為に、アルさまだってーーーー。