冷酷な王さまは愛し方を知らない

涙がはらりと溢れる。
こんな人の前で泣きたくなんてなかったのに。


「向こうで受けた待遇を教えろ。そうすれば、それと同様、いやそれ以上のもてなしをしよう。不便はかけない。ただ仕える王が変わるだけ」

「それだけではないわ。いくらどれ程いい暮らしを与えられても、なに不自由ないものを与えられても・・・、イリア王国での暮らしに勝るものなどなにもない」


欲しいもののためなら、どんな犠牲も厭わない。
その姿勢にほとほと軽蔑する。


「私はいい暮らしがしたいわけではありません。アルさまとなら、いくら貧しい暮らしでもいいのです。険しい道でもいくらでも喜んで立ち向かいましょう。アルさまのためなら、いくら憎いあなたのもとにも来ることができる」


私がそう強い口調で訴えると、ゼルダ王は怒りを孕んだように眉間に皺を刻む。


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