冷酷な王さまは愛し方を知らない

でも、私がここにいる以上、ゼルダはイリア王国に手を出すことはないかもしれない。
興味はないのだと言っていたし。
でも、アルさまが戻ってこないことには、王座は空いたまま。
コールド王国出はなく他の国から攻めてこられる可能性だってあるのだ。

一刻も早くアルさまの無事を確認しなくてはいけない。
きっと、キースさんやクリスさんが懸命に手を尽くしてくれているに違いない。
私は、この遠い地でそれを願うことしかできないけれど。


コハクはうまくやっているだろうか。
どこか頑固なところがあるから、キースさんたちと衝突していないかが心配だわ。
イリア王国の仲間として自覚を持って、やっていってほしいと願う。
もう、その日暮らしの危険な日々には戻ってほしくない。


「リズさま、失礼致します」


マリアンが一人の女性を連れて戻ってきた。
その人は少し年配の優しそうな雰囲気の人だ。

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