冷酷な王さまは愛し方を知らない
話の後、昼食の時間まで自由時間となり私はなんとなしに庭に出てきていた。
ずっと城の中にいると息が詰まってしまう。
綺麗な花たち…。
噴水もあってまるでおとぎ話の中みたい。
花の側にいると、少し落ち着くことができる。
「…なにをしている」
ふいに後ろから掛けられた声にビクッと振り返る。
そこには綺麗な金色の髪がキラキラと太陽に照らされた王さまの姿。
「お、王さま…!」
なんでこんなところに。
ここだって城内なのだから、いたっておかしくはないのかもしれないけれど。
チラリと辺りを見てみても、誰の姿もない。
「なにを探している」
「いえ…、誰もお連れではないのですか?」
「城内を一人で出歩くことくらいある」
城の中なら安全なのだろうし、そういうものなのかしら。
「ある程度、自分の身は自分で護れる」
そう言い切る王さまの腰には、護身用だろうか剣が差してある。
ご自分のお城の中なのに…。