冷酷な王さまは愛し方を知らない
みんなを守るためには一番そうすることがいいのだと思っていた。
そうするしかイリア王国を守る道はなかったし。
今はそうして時を待つしかないのだと。
「コハクくん、あの。アルさまが城門にと聞いたのだけど」
「自分で確かめたらいい」
「う、うん」
トクン、トクン、と胸を打つ。
早く会いたい。確かめたいと。
心が急くのだ。
「ここから出よう。コハクくん、どうしたらいいか教えてほしい」
「おれについてきて」
私は頷くと、コハクくんにぴったりとついて歩いた。
久しぶりに会うコハクくん。
あまり感情が見えない彼だけど、ずいぶん表情豊かになった。
怒っているのがとてもよくわかったもの。
それが少し嬉しいだなんていったら、怒られてしまうだろうか。
裏口から出た私たちは、裏門ではなく城門が聳え立つ場所の前。
コハクくんが、長い紐の道具を使い城門にその先を引っ掻けると、私を片手に抱え込んでそれを使って城門の上にあがった。