冷酷な王さまは愛し方を知らない
そのまま反対側へと降り立って、すぐに城から離れた。
コハクくんにつれられるまま城門の前まで移動すると遠目に、城門での騒動が目にはいる。
「我が名はアルヴィン! これ以上貴様らの好き勝手はさせん!」
城門でひときわ目立つ金色の髪。
張り上げた声が風に乗りここまで聞こえてくる。
アルさまだ。
間違いなく、アルさまの姿だ。
髪は短く切り揃えられてしまったけれど、あの端正な顔つき、堂々とした出で立ちは間違いなくアルさまのもの。
アルさまが生きていたーーーー。
はらはらと涙の粒が落ちていく。
不安な心が晴れ渡っていくのを感じる。
ああ。
無事にアルさまと共にイリア王国へ戻りたい。
幸せなあの場所に、一刻も早く。
「ここは危険。離れる」
「で、でも、アルさまが戦おうとしているのに」
「リズいてもなにもできない。俺はリズを守れと言われた。安全な場所につれていく」
「・・・わかったわ。お願いね」
私がいてもなにもできないことは確かだ。
私だって、私の中に生まれたもうひとつの命を守らないとと思ったばかりだったのに。
アルさまの姿を見て、すぐにでも駆け寄りたいと思ってしまった。