冷酷な王さまは愛し方を知らない
私がコハクくんにつれられてきたのは、イリア王国の領土ギリギリにある小屋。
そこは元々空き小屋になっていたところを、待機場として使うことになったのだという。
「リズ!」
「キースさん!」
そこで待っていてくれた姿に、また胸が熱くなる。
怪我をしているのか包帯を巻かれた姿だけど、それ以外は元気そうに見える。
私はキースさんにかけより、その顔をしっかりと目に焼き付けた。
キースさんも心なしか目が赤く、私をじっと見つめる。
「ああ、本当にリズだ。無事でよかった。本当に、本当に心配しました」
「ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。キースさんも無事でよかった」
心底安心したようにキースさんが私の肩を包むと、大きく息を吐き出した。
とても心配をかけてしまった。
当然よね。胸が痛い。
「ごめんなさい、キースさん」
「いえ、守りきれなかった我々が至らなかったのです」
そんなことないのに、キースさんは言い切ってしまう。
ああするしかなかったのだと、キースさんもわかっているのだろう。